第16回 「文楽」鑑賞会
7月23日(日)、国立文楽劇場で第16回文楽鑑賞会を開催しました。
今回も昨年と同じく、「夏休み文楽特別公演」の第2部の名作劇場の演目を鑑賞しました。
今回の演目は、「妹背山婦女庭訓」の四段目でした。
実は、この作品はちょうど10年前の2013年にも、同じ四段目の「井戸替の段」、「杉酒屋の段」、「道行恋苧環」、「鱶七上使の段」、姫戻りの段」、「金殿の段」を鑑賞しております。
前回も午後2時〜5時30分も長丁場でしたが、今回は上記に「入鹿誅伐の段」が加わり、1時30分〜5時25分という更に長い上演になりました。
「妹背山婦女庭訓」は全五段の作品ですから、通しで全段を上演する場合は一体何時間かけていたのでしょうか。気になるところです。
今回の参加者はゲストを含め25名でした。





参加者から頂いた当日の感想を紹介します。

松本耕司さん(16期)
文楽の技芸員募集への応募者が今年はゼロ、ということで、「世も末だなあ・・」と嘆いておりましたが、太夫にも三味線にも人形使いにも、一人の女性もいないのはいけませんね。
今後の文楽のためには、江戸時代からの伝統を破ってでも、女性の技芸員プロをつくっていくべきでしょう。
あと、筋立てで「女性に厳しすぎる」「女性に服従を強いすぎる」・・・のは、これからの若い女性をファンにするのには大変ですね。新作が出たり、少しづつ合理的な筋立てが必要だなと、ファンとしてはあらためて感じました。
「どうする家康」まで変えていいとは思いませんが、古典墨守だけでは厳しいようにも思います。

山嵜麻里子さん(20期)
午後1時半〜5時25分迄の長丁場。正直、居眠りするのではとの心配通り3分の1くらいウトウト。
でも、音声ガイドのお陰で概要がよくわかり、クスリと笑ったり、ヒヤヒヤしたりと楽しめました。
特に、「金殿の段」では、お三輪の哀れさに胸を衝かれ感情移入。人形遣いは、人間国宝の桐竹勘十郎。
さすがです! (余談ですが、桐竹勘十郎と言えば、昨年4月にたまたま観た「義経千本桜」のキツネも人形とは思えず、その動きに魅入られ、ワイヤーで吊るされての退場は圧巻でした)
席は、いつも義太夫と三味線側なので、顔の表情や所作が間近で見られ、人形と両方楽しむことが出来ました。
改めて、文楽は日本の伝統文化。大切に継承していかねばと思うのですが…
ただ、音声ガイドは有難いのですが、冗舌過ぎるきらいがあって、ここでは静かに鑑賞したいのに音声が邪魔と感じる場面が数ヶ所ありました。でも、800円の価値は充分にあり。

最後に、お世話して頂いた役員の方々、暑い中有難う御座いました。お陰様で良い一日を過ごすことが出来ました。

重箱隅右衛門(HP担当子11期)
芸術作品への、レベルの低いツッコミは失礼に当たるので封印したはずですが、お三輪があまりにも可哀そうなので、一点ツッコミを入れます。
なかなか子に恵まれなかった入鹿の母は占いに従い、白い牡鹿の生き血を取り体内に入れたところ健やかな男児を得たそうです。
鹿の生血が胎内に入ったので入鹿と名付けたそうですが、この怪物のような入鹿の心を弱らせるためには、「爪黒の鹿の血汐と疑着の相ある(嫉妬に狂った)女の生血、これを混じてこの笛にそゝぎかけて調ぶる時」入鹿は鹿の本性に返っておとなしくなってしまうのだそうです。
そこで、恋する求馬が橘姫と祝言を挙げると聞かされた上、意地悪い官女達に散々虐められ、極限の嫉妬状態にある三輪姫は鱶七(金輪五郎)の目にはこれ以上ない「疑着の相ある女」と映って、いきなり刀でお三輪のわき腹を刺し貫き、溢れる血汐を鹿笛の穴に注ぎ込みました。その笛を吹き鳴らすことで、宿願の入鹿誅殺に成功します。
瀕死の三輪姫は、いきなり刺されたいわれを鱶七に講釈され、愛する求馬が鎌足の嫡子淡海公であり自分の死が求馬のためになるのだと知って安心して死んでいきます。
ですが、ちょっと待ってください。要は「生き血」が必要なのでしょう。それなら刺し殺すなどむごいことをしなくて、指先を少し傷つけるくらいでも、十分「生き血」を取れるのではないでしょうか。
でも、それでは見る人の涙を絞る作品にはならないことは分かっています。しかし、三輪姫があまりにも哀れなのでせんないツッコミを入れました。どうもすみません。

10年前の鑑賞会の報告はこちらでご覧になれます。
kinki-soushoukai.org/2013bunraku/kiji .html

今回を含めた今までの鑑賞記録一覧は下記です。
kinki-soushoukai.org/kanshoukiroku2.html

ネットで見つけた床本を紹介します。鑑賞された方は、記憶の新しいうちに印象に残った場面を床本で再検証してください。

横書き
http://hachisuke.my.coocan.jp/yukahon/imoseyama.html#name10

縦書きPDF
http://hachisuke.my.coocan.jp/yukahon/imoseyama.pdf